ピクトグラムのデザイン案件を依頼されたので、ピクトグラムについて少しまとめてみました。
ピクトグラムとは
まず広辞苑で引いてみると、割とそのままだった。笑
ピクトグラム【pictogram】
広辞苑
絵文字。また、絵を使った図表。ピクトグラフ。
もう少し調べてみます。
論文「ピクトグラムの形態表現に関する研究」三枝孝司(2007)によると
ピクトグラム(絵文字)は基礎的造形要素を組み合わせた図形等によるグラフィックシンボルであり、ある意味を表示し、言語及び文化の差異を超え、視覚的に瞬時に人間が理解できるようにデザインされたビジュアルコミュニケーションツールである。
「ピクトグラムの形態表現に関する研究」三枝孝司(2007)
ピクトグラムの条件としては以下を挙げています。
ピクトグラムの条件
ピクトグラムの条件に、①可読性(読みやすさ)②統一性(構成が単純で複製が容易なシステム)③明解性(美しく、わかりやすい)の3点
「ピクトグラムの形態表現に関する研究」三枝 幸司(一部修正)
読みやすく、統一されており、かつ美しくて分かりやすいものがピクトグラムたるもののようです。もう少し調べると面白いことがわかったのですが、実は全世界で使われているピクトグラムは、日本の1964年の東京オリンピックがはじまりだったそうです。
ピクトグラムの歴史
ピクトグラムは1964年に東京オリンピックのサイン計画の中において初めて導入されたそうです。これは知らなかった、驚き。

アートディレクターは原弘氏。昭和期の日本を代表するグラフィックデザイナーの一人です。陸上競技のホワイトスペースが美しい…!
1964年の東京オリンピックを皮切りに、以後の国際イベント等においても使用されるようになり、公共交通機関や公共施設等の不特定多数の人々が利用する施設をはじめ、一般的な生活環境の中に利用され定着してきました。
その後、1976年にアメリカ運輸省によって提案されたピクトグラムにより、アメリカ国内及びその他の国々の空港施設等において統一化されに向けた流れは存在していました。ただ、根本的な標準化には至らず、国際標準化機構(ISO)によって標準化されているものは57項目だけでした。
我が国では国際化・高年齢化等の社会環境の変化により、利用者のニーズが多様化。またバリアフリーの観点からもピクトグラムの一層の充実、統一化の必要性が高まり、2001年3月国土交通省の関係公益法人である交通エコロジー・モビリティ財団により125種類の標準案内用図記号が整備されました。その後2002年3月に104項目においてJIS(日本工業規格)化が制定されました。(JISZ8210)
制定後から現在まで、常に新しい項目が追加されています。

ちなみに以下は東京2020オリンピックのピクトグラム。

開会式でもパフォーマンスしてましたね。
人はピクトグラムのどこを見ているか
先程の論文に以下のような一文がありました。
(中略)眼球運動の実験結果から、次のようなことが考察できる。
ポジ的表現がされている場合であっても、白の形で見えてくるネガ的表現が多く見られることである。これは、電車、バス等に見られる乗物の窓の表現や携帯電話の画面の表現等に顕著に表れている。これは白抜きの形は視覚的にはアクセント的なアイストップ表現となり、見る時間が長くなるためと思われる。
「ピクトグラムの形態表現に関する研究」三枝孝司(2007)
つまりピクトグラムだけでなく、ロゴデザインにおいてもホワイトスペース(余白)がアクセント要素として働く、ということです。
先程の1964年の東京オリンピックの陸上競技でも目を引きましたし、自分自身美しいな、と思うロゴもホワイトスペースがうまく活用されているケースが多いです。これは実務でも応用できそう。
おわりに
ピクトグラムの定義や条件、歴史などが俯瞰できました。JIS規格のピクトグラム等を参考に、デザインを進めていきたいと思います。
では。